「ベンゾジアゼピン系薬剤の処方はなるべく避けるべきなのに処方されている。詳しくない人には、「なんでダメなものを処方するのだ?」という疑問があると思うので説明しよう。まず、ベンゾジアゼピン系薬剤とはかつては俗にマイナートランキライザーと呼ばれ、睡眠薬の定番であった。ただ、ベンゾジアゼピン系は薬効が複数あり、ややこしいのだ。薬効は、(1)眠らせる(2)不安をとる(3)痙攣を止める(4)筋弛緩を起こす、という複数の効果を持つ。このうち(1)が強いものが睡眠薬として使われる。(2)の不安をとるものとしてはエチゾラム(商品名:デパスなど)が代表的であり、(3)の痙攣を止めるものとしてはジアゼパム(商品名:セルシンなど)が代表的である。ただし(4)が起きてしまうので、肩こりや腰痛にも効いてしまう。過剰に投与すると、あるいは高齢者では、昼間に薬効が残ってふらつくこともある。夜間にトイレに行き、階段から落ちるなんてことも起きる。ややこしいうえに危ないのである。さらに耐性が生じるので、基本的にはだんだん効かなくなる。効かなくなると増やすしかない。そうするとやはりふらついたり、日中もぼんやりしたりする。現代では新たに処方されることはあまりないし、1剤にとどめるべきである。ベンゾジアゼピン系を2剤出していたら、よほどの理由があるか、ダメな医者かのどちらかである。じゃあ何で処方するのだ、と思うかもしれないが、2つの理由がある。第1の理由は、患者さんにとっては良い薬と認識されていることがある。切れ味がよいのである。長年ベンゾジアゼピン系てんこ盛りでよく寝ている(と自覚している)患者さんに、「危ないので減薬しましょう」などと言っても、「なんだ、全然眠れなくなったぞ。四の五の言わずにさっさと出せよ!」などとすごまれる、なんてことも起きる。
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